キバレ薩摩アスリート

鹿児島のスポーツ、鹿児島出身の選手を応援するブログです

オール鹿児島で初優勝~2000年全国都道府県男子駅伝

先週の女子に続き、今週の全国都道府県対抗男子駅伝も中止になってしまいました。

今年の鹿児島は、5000m13分48秒という素晴らしい記録を持つ高校生が2人いるなど、開催されれば面白い存在になっていただけに残念です。

 

鹿児島は2000年の第5回大会で一度優勝していますが、その時のメンバーは全て鹿児島出身で、また全ての選手が鹿児島在住という、まさに「純鹿児島」のメンバー構成でした。

ふるさと選手や県外の大学生を使わず、地元の実業団選手も県内出身で、出身・居住地ともに同県で揃えたチームでした。

このようなケースで優勝したチームが他にあったでしょうか?

記憶にありません。

 

その2000年の全国都道府県対抗男子駅伝を振り返ります。

 

 

 2000年鹿児島メンバー

※鹿児島県出走メンバー(敬称略)

 

 1区 元田幸佑(鹿児島実業)

2区 大野龍二(桜島中)

3区 永田宏一郎(鹿屋体大・錦江湾高卒)

4区 東郷誠(鹿児島実業)

5区 橋ノ口滝一(伊佐農林高)

6区 浜田直槻(頴娃中)

7区 入船敏(京セラ・鹿児島商卒)

 

このメンバーの特徴は強力な軸になる選手が3人いること。

社会人は京セラの入船選手。

入船選手はこの後、京セラの撤退に伴いカネボウに移籍しますが、一番強かったのはこの時期だったのではないでしょうか。

 

大学生は鹿屋体育大学の永田選手。

大学時代の永田選手の強さも印象的です。

地方大学でありながら、インカレ優勝や日本選手権日本人1位、全日本大学駅伝での区間新など数々のタイトルを獲得しました。

 

伊佐農林高校の橋之口選手は無名校ながら、5000mでインターハイ3位、国体2位の成績で当時の県高校記録の14分05秒をマークしています。

 

この主力の3人以外の中高生も、鹿実の2年生コンビ元田選手と東郷選手に中学生も伸び盛りの楽しみな選手で、各選手の役割がはっきり出来ていました。

 

出身、在校の学校に、錦江湾高校や伊佐農林高校などの駅伝強豪校ではない学校もあるのもこのチームの特徴でした。

 

レース展開と成績

※鹿児島の成績(敬称略)

             通過  区間

1区 元田幸佑  20’32   13  (13)

2区 大野龍二  8’51    7  (15)

3区 永田宏一郎 24’05    2  (1)

4区 東郷誠   14’53    4  (14)

5区 橋ノ口滝一 24’35    1  (1)

6区 浜田直槻  9’09     1 (14)

7区 入船敏   37’47    1 (1) 

    総合成績 2時間19分52秒 優勝

 

レース展開は、1区の元田選手が区間賞の兵庫には24秒差を開けられますが、ライバルの広島などとはほとんど差がなく13位でタスキを渡します。

 

2区の大野選手も混戦のなか走り、区間15位ながら順位は7位に上げてきます。

 

想定通りの展開で、前半のエース、3区の永田宏一郎選手にタスキをつなげます。

永田選手はさすがの走りで追い上げ、区間賞、トップの兵庫と4秒差の2位まで上げてきます。

 

ここが粘りどころです。

4区の東郷選手は、順位は4位に落としますが、トップの広島とは9秒差で橋ノ口選手につなぎます。

 

5区の橋ノ口選手は強かったです。

タスキをもらってしばらくしてトップに立つと、そのまま2位に20秒の差をつけて中学生にタスキを渡します。

区間賞です。

 

6区、中学生浜田選手の仕事は、確実に入船選手へつなぐこと。

キッチリと役割を果たし、2位と14秒差のトップで入船選手にタスキを渡します。

 

そして、アンカー入船選手は一人旅。

この区間を走った選手の中では、一番の実力者でした。

区間賞の走りで見事に優勝テープを切りました。

 

 優勝の要因

7区間中3区間、しかも主要区間で区間賞を獲れば強いですね。

しかし、それ以外の選手もきっちりと自分の役割を果たしてくれました。

 

女子もそうですが、都道府県対抗駅伝で優勝するには、タイミングと覚悟が大切です。

中高生、社会人といい選手が揃って、選手、スタッフ含め県全体で勝ちに行く姿勢・覚悟を決めないと、なかなか寄せ集め駅伝で勝つことは難しいです。

 

この年の鹿児島にはそれが揃っていました。

入船選手、永田選手、橋ノ口選手と社会人、大学生、高校生のトップクラスが揃ったのは大きかったです。

 

その他の選手も、鹿実2年生の元田、東郷両選手も力がありました。

翌年の3年生になった年の全国高校駅伝では、2人が主力で3位に入っています。

 

中学生も2区の大野選手は流れをいい方に持っていき、6区の浜田選手は確実につなぐという走りで優勝に貢献しました。

大野選手は、後に鹿実から旭化成に進み、2004年のアテネオリンピックの10000m代表になっています。

 

中高生の強化が実り、京セラ、鹿屋体育大学の協力など、鹿児島県が一体となって勝ち取った優勝でした。

 

この時の「オール鹿児島」まではいかなくても、ふるさと選手や関東で活躍する大学生と群雄割拠の県内高校生、レベルアップしてきている中学生が一体となり、再び鹿児島に優勝旗を持ってきてもらいたいです。