1980年代の鹿児島県勢、甲子園での戦績を夏に限って振り返ってみます。
1974年、定岡正二投手を擁して鹿児島実業がベスト4に入りましたが、その後5年連続鹿児島県勢は初戦敗退しました。
非常に苦戦していた70年代でしたが、果たして80年代はどうだったのでしょうか。
80年代鹿児島県勢の夏の甲子園成績
80年 川内実 ●1-3双葉
81年 鹿児島実 ○3-2仙台育英
●4-6鎮西
82年 鹿児島商工 ○5-2秋田経大付
●6-8比叡山
83年 鹿児島実 ●4-5横浜商
84年 鹿児島商工 ○5-0拓大紅陵
○2-0桐蔭学園
●5-7取手二
85年 鹿児島商工 ○6-5北陸大谷
○2-1徳島商
○6-5沖縄水産
●宇部商
86年 鹿児島商 ○8-1松商学園
○4-1県岐阜商
○11-3前橋商
○3-1東洋大姫路
●6-8天理
87年 鹿児島商工 ○3-2足利工
●1-4中京
88年 鹿児島商 ○9-0学法石川
●0-4米子商
89年 鹿児島商工 ●4-7仙台育英
通算成績は13勝10敗、ベスト4が1回、ベスト8が2回で、初戦敗退は3回のみです。
特に84、85年の鹿児島商工の連続ベスト8、翌86年の鹿児島商のベスト4の3年間は素晴らしかったです。
鹿児島が強豪県の仲間入りをした時期ではないでしょうか。
各年ごとに振り返る
1980年
この年の夏の鹿児島県予選は波乱の大会でした。
ベスト4に、川内実、鹿児島商、中種子、徳之島と離島勢が2校残り、鹿児島市の学校は鹿児島商だけという、当時としては非常にめずらしいケースでした。
川内実が初優勝し、鹿児島市以外の代表は実に出水商以来20年ぶりとなりました。
そして、その後も2007年に神村学園が出場するまで26年間鹿児島市勢が独占していました。
ある意味貴重な代表でした。
甲子園では初戦で敗退してしまいました。
1981年
鹿児島実業が初戦で仙台育英を3-2で破り、実に7年ぶりの県勢初戦突破となりました。
山田投手や阿久根選手が印象的でした。
1982年
この年の鹿児島商工はいいチームでした。
3回目の出場で初の初戦突破を果たしましたが、春にも出て1勝しています。
そして、特筆すべきは秋と春ともに九州大会優勝しています。
秋春ともに九州を制すには、かなりの実力が必要です。
この年の鹿商工は、右、左、下手投げの3人のタイプの違った投手の継投が魅力的でした。
野手では4番を打っていた破崎主将がチャンスに強かったです。
後に日ハムに進んだ太田選手もいました。
1983年
鹿児島実業が出場しましたが、初戦で準優勝した横浜商に延長の末、惜しくも敗れました。
エースは後に鹿実の監督も一時努めた、アンダースローの竹之内投手でした。
1984年
鹿児島商工が鹿児島県勢11年ぶりのベスト8入りを果たしました。
エースの増永投手が、拓大紅陵、桐蔭学園と関東勢を連続完封した時は県民が湧きました。
準々決勝では優勝した取手二に敗れましたが、増永投手は定岡投手を彷彿させるルックスもあり人気者になりました。
1985年
鹿児島商工が2年連続ベスト8の快挙!
この年の鹿商工は、粘り強い打撃が持ち味で接戦にも強かったです。
県大会での決勝で、強力打線が持ち味の鹿児島商を接戦で制し、甲子園では1回戦から3回戦まですべて1点差(そのうち2試合はサヨナラ)で勝ち上がりました。
準々決勝の宇部商戦は惜しくも3-5で敗れましたが、この2年連続ベスト8で「鹿商工」の名を全国に知れ渡らせました。
1986年
鹿児島商がベスト4入りです。
このチームは特筆した打者はいませんでしたが、皆バットが振れていてよく打ちました。
強豪校を次々に打ち破り勝ち進む姿にワクワクしました。
準決勝の天理戦も惜しい試合でした。
塩瀬監督の采配と、メガネのエース中原投手が印象的でした。
鹿児島の高校野球黄金時代は1990年代ですが、この3年間で完全にその足掛かりをつかみました。
1987年
鹿児島商工が出場し、初戦は石井琢朗投手擁する足利工業にサヨナラ勝ちしましたが、3回戦で後に巨人に入る木村龍治投手擁する中京に敗れました。
このチームも好打者の宅間選手や、後に日本ハムに入団する川名選手など好選手がいました。
1988年
初戦では学法石川に9-0と快勝しましたが、2回戦で米子商業に0-4で敗れました。
後にプロで活躍する井上一樹選手が2年生でいました。
1989年
初戦で準優勝した仙台育英に4-7で敗れてしまいました。
久しぶりの県勢初戦敗退となりました。
しかし、このチームは甲子園では相手と展開に恵まれませんでしたが力はありました。
吉鶴選手、大西選手とプロで選手、コーチとして活躍する選手が2人もいました。
投打にわたって好チームでした。
学校別成績
80年代の甲子園出場回数と勝利数を学校ごとにまとめました。
- 鹿児島商工 出場5回 7勝
- 鹿児島商 出場2回 5勝
- 鹿児島実 出場2回 1勝
- 川内実 出場1回 0勝
鹿児島商工がこの時代はリードしていた印象です。
特に80年代後半からは、「鹿商工」がトップでそれを追う「鹿商」という感じでした。
逆にこの時代低迷していたのが鹿児島実業です。
しかし、この低迷を経て、90年代初頭からの快進撃が始まります。
鹿児島の高校野球の黄金期と言われた1990年代。
樟南(鹿商工)と鹿実が全国を圧巻していました。
夏の全国制覇は無かったものの(春は鹿実が優勝しています)、樟南、鹿実が限りなく優勝に近い準優勝、ベスト4がありました。
90年代の黄金時代の鹿児島県の高校野球については、また書きたいと思います。