キバレ薩摩アスリート

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神村学園悔しい準優勝~2020全国高校駅伝女子

神村学園が優勝候補の大本命で2年ぶりの優勝を目指して臨んだ、第32回全国高校女子駅伝。

 

結果は1時間7分38秒で準優勝という悔しい結果に終わってしまい、駅伝の難しさ、キーピングの難しさを改めて痛感させられました。

 

戦前の予想では、神村と前回覇者の仙台育英の一騎打ちと言われていましたが、結果はノーマークだった広島・世羅高校がアンカーの大逆転で優勝しました。

 

神村は県予選で出した1時間6分4秒の「国内高校最高記録」までは行かなくとも、それよりも1分遅いタイムで走れば勝てていただけに、自分達の力が発揮出来なくて悔しかったと思います。

 

 

レース展開

 神村学園を中心としたレース展開、神村とライバルの仙台育英、優勝した世羅とのタイム差などを書いていきます。

 

1区

神村学園は3年生の黒川円佳選手

 3年連続の出走で、3000mも9’07”の好記録を持ち、経験もタイムも持ち合わせている選手です。

 

 レースは序盤から北九州市立の酒井選手が抜け出す展開となりましたが、2位集団で余裕をもって走っているように見えました。

 神村は残り1キロの5キロ地点まで仙台育英と同じ位置に居れば、優勝の可能性は高いと見ていましたが、その5キロ目前で遅れだしてしまいました。

 

神村の1区でよく見られる光景ですが、先頭集団に居ながら、あと残り1キロで20秒位離されるケースが多いように思います。

あの岩元千明選手でも20分かかった年もありましたので、1区の残り1キロは神村の課題ですね。

 

黒川選手は20分1秒の区間11位でタスキを渡しました。

 大会記録の更新は難しくなりましたが、優勝にはまだ射程圏内です。

 

1区区間上位(敬称略)

1位 酒井美玖(北九州市立)19'18

2位 中山菜摘(仙台育英) 19’40

3位 三原梓(立命館宇治) 19’41

4位 山際夏芽(世羅)   19’48

5位 村岡美玖(長野東)  19’51

11位 黒川円佳(神村学園) 20’01

 

神村と仙台育英、世羅とのタイム差

仙台育英 +21秒

世羅   +13秒

 

 

2区

 神村学園は唯一の2年生、久保心優選手

3000mの9’06はチームトップです。

 

国内高校最高を出した県予選でも1区を走り、全国大会でも1区を予定していたと思います。

大会前にあった地元のテレビ番組でも、有川監督は明言こそしていませんでしたが、久保選手を1区に起用したいと言っていたそうですが、2区で起用してきました。

 

 レースは北九州市立がトップを守りますが、立命館宇治の細谷選手の区間2位の走りで5秒差まで迫ります。

 神村は実力的にもここでグッと上がって来なければいけないのですが、全く上がってきません。

 

結局、仙台育英との差を33秒差まで広げられてしまいました。

 

おそらく久保選手は、調子を落としての2区での起用だったと思います。

その影響が1区に抜擢された黒川選手にもあったのかもしれません。

 

3,4,5区の実力からすれば、まだまだ射程圏内ですが、悪い流れになってしまっていたので、ここで諦めかけました。

 

2区区間上位(敬称略)

1位 ワングイエスター(興譲館)12’23

2位 細谷愛子(立命館宇治)  12’50

3位 道清愛紗(須磨学園)   12’52

4位 並木美乃(常磐)     12’58

5位 山﨑りさ(成田)     13’04

12位 久保心優(神村学園)  13’20

 

神村と仙台育英、世羅とのタイム差

仙台育英 +33秒

世羅   +14秒

 

 

3区

神村学園はキャプテンの中須瑠菜選手

1年次は2区、2年次は5区を走っています。

 

前年度から主将を努め、経験も豊富なのでここで悪い流れを断ち切ってもらいたいところです。

 

 レースは北九州市立がここでもトップをキープしますが、須磨学園が1秒差まで迫ってきました。

さすがにこのあたりの須磨学園は強いです。

 

仙台育英は昨年1区で区間賞を獲得した小海選手です。

ケガの影響で本来の力は出せませんが、何とか区間4位でまとめています。

 

そして、神村は中須主将が悪い流れを変えるさすがの走りで、前との差をどんどん詰めて、6人抜きで5位に上がりました。

 

仙台育英との差も16秒に縮めて射程圏内に戻しました。

 

3区区間上位(敬称略)

1位 中須瑠菜(神村学園)9’37

2位 福永愛佳(須磨学園)9’38

3位 西澤芙鈴(大阪薫英)9’46

4位 小海遥(仙台育英) 9’54

5位 小島彩乃(学法石川)9’57

5位 仁科玲美(長野東) 9’57

 

神村と仙台育英、世羅とのタイム差

仙台育英 +16秒

世羅   -12秒

 

 

4区

神村学園は3年生の鳥居華選手

鳥居選手は昨年も同じ4区を走りましたが、今期は常にチーム6番手に位置しており、出走は厳しいかもと思われていました。

 

1時間6分4秒の国内高校最高を出した県予選も出場していませんし、3000mの記録もチーム6番手でした。

 ここは県予選でも4区を走り、一昨年の優勝メンバーで、昨年は1区を任された3年の木之下紗椰選手が予想されていましたが、鳥居選手の状態が良く起用されました。

 

 

レースは立命館宇治の1年生瀬川選手が好走し、2位に9秒差のトップでアンカーに渡します。

続いて須磨学園と北九州市立。

 

神村は鳥居選手が区間賞の走りで、4位の仙台育英に2秒差まで迫りました。

諦めずに出走を信じて最後まで調整を続けたことが、出場、そして区間賞に繋がったのだと思います。

 

4区区間上位(敬称略)

1位 鳥居華(神村学園) 9’15

2位 明貝菜乃羽(大阪薫英)9’20

3位 瀬川藍(立命館宇治)9’23

3位 山下彩菜(千原台) 9’23

5位 加藤美咲(世羅) 9’26

 

神村と仙台育英、世羅とのタイム差

仙台育英 +2秒

世羅   -23秒

 

この時点で優勝を確信まではいかなくても、ほぼ間違いないと思いました。

 理想は大会新記録かつ、バイレ選手にトップで渡すことだったけど、アンカー逆転の最低限の優勝になったなと、余裕な考えでいました。

 

自分もそうでしたが、おそらく多くの方は世羅とのタイム差は、1区からここまで全く気にしていなかったと思います。

昨年2区で区間新を出したムッソーニ選手の実力を考えれば警戒してもおかしくないですが、仙台育英しか頭にありませんでした。

 

 

5区

神村学園は3年生のシンシアバイレ選手

絶対的エースです。

 

 タスキを受け取るとすぐにライバルの仙台育英を捉えます。

ここで後ろに着けられると、仙台育英の米澤選手はラストがあるのでトラック勝負に不安が残りますが、すぐに引き離します。

 

その後、須磨学園、北九州市立を追い抜き、1.5キロで立命館宇治をかわしとうとうトップに立ちます。

 

先頭に立ったのはいいのですが、テレビの画面を見ていて嫌な感じがあります。

すぐにかわしたはずの仙台育英が離れていきません。

 そして、緑のユニフォームがだんだん大きくなってきています……。

 

そのあたりからバイレ選手の走りのバランスがおかしくなってきていました。

世羅のムッソーニ選手がどんどん迫ってきて、3キロ過ぎにはかわされてしまいました。

 バイレ選手はレース中に右太ももを痛めたようです。

 

世羅にどんどん離されていき優勝が遠ざかっていきました。

仙台育英にもかわされるのではないかと思うくらいの失速でしたが、何とか2位でゴールしました。

 

後日、地元のテレビでバイレ選手がうずくまってなかなか立ち上がれない姿をみましたが、本当に優勝したかったんだなと思いました。

悔しかったと思います。

 

自分も5区の途中からゴール後まで呆然としてしまいました。

 

5区区間上位(敬称略)

1位 テレンシアムッソーニ(世羅)14’37

2位 シンシアバイレ(神村学園)15’25

3位 米澤奈々香(仙台育英) 15’37

4位 スーサンカモソ(大分東明)16’03

5位 野田真理耶(北九州市立) 16’05

 

 

まとめ

総合順位(上位5校)

1位 世羅    1時間7分13秒

2位 神村学園  1時間7分38秒

3位 仙台育英  1時間7分48秒

4位 北九州市立 1時間8分8秒

5位 立命館宇治 1時間8分19秒

 

優勝した世羅は、ムッソーニ選手の走りは驚異的でしたが、その他の選手の頑張りが勝利につながりました。

 1区から好位置でつなぎ、その流れで2~4区が好走し、アンカーの留学生で逆転するというパターンは、2年前の優勝した神村学園に似た感じがします。

 

あの時の神村も、1区の日本人エースの平田選手が好位置でつなぎ、2~4区の1年生が流れにのって好走して、アンカーのタビタ選手で逆転でした。

やはり駅伝は序盤からの流れが大切ですね。

 

仙台育英は故障などでベストメンバーは組めなかったと思いますが、その中で出走した選手は自分の力を出せるところはさすがだなと思いました。

 

 

 神村は1区をどう乗りきるか、ピークを全国にもってこれるかのこれまでの課題が、最強チームの今年も出てしまいました。

 

本当に悔しくて、残念な結果に終わりましたが、1時間6分4秒の国内高校最高記録は色あせることはありません。

いつもとは違う難しい年に、プレッシャーと戦いながら頑張り抜いてきた選手たちは素晴らしいです。

 

この全国制覇を目指して頑張ってきた3年間を誇りに、3年生は次のステージでも羽ばたいてもらいたいです。

 

そして、1,2年生はもう一度チャレンジです。

今年のチームで負けるのだから、逆に言えば来年もチャンスがあります。

 

 自分自身もこんなに緊張して駅伝を見るのは初めてでした。

楽しませてもらって感謝です。